乳幼児/ロボットに向けた動作誇張モーショニーズ

養育者は乳幼児に向かって動作を呈示する際,動きに抑揚をつけたり動作分節間に頻繁に一時停止を入れるなどの誇張を行う.これはモーショニーズ(対乳幼児動作誇張)と呼ばれており,マザリーズ(対乳幼児発話)と同様に乳幼児の運動認識・学習を促進すると指摘されているが,なぜ養育者がそのような誇張をするのか,誇張はどのようなメカニズムによって起こるのか,そして誇張が乳幼児の学習をどう促進するのかは明らかになっていない.本研究では,これらを計算論的アプローチから明らかにすることを目的とし,乳幼児−養育者相互作用の解析と,ロボット−人インタラクションの設計を行った.

顕著性に基づく視覚的注意モデルを用いたモーショニーズの解析

養育者は乳幼児に向かって動作を呈示する際,動きに抑揚をつけたり動作分節間に頻繁に一時停止を入れるなどして,乳幼児の動作認識を援助しようとする.本研究では,乳幼児の視覚的注意を再現することのできる顕著性モデルを用いて,対乳幼児動作(モーショニーズ)がどのように乳幼児の視線を誘導し,彼らの動作認識と学習を援助しているかを検証する (Nagai & Rohlfing, 2009).

時空間的連続性の評価による動作プリミティブの抽出

養育者は乳幼児に向かって動作を呈示する際,動きに抑揚をつけたり動作分節間に頻繁に一時停止を入れるなどして,乳幼児の動作認識を援助しようとする.本研究では,そのような対乳幼児動作(モーショニーズ)から,顕著性に基づく視覚的注意モデルをもとに視覚特徴の時空間的連続性を評価することで,動作を構成する動作プリミティブを抽出するモデルを提案する (Nagai, 2009).

顕著性に基づく視覚的注意モデルを用いたモーショニーズの誘発

養育者は乳幼児に向かって動作を呈示する際,動きに抑揚をつけたり動作分節間に頻繁に一時停止を入れるなどして,乳幼児の動作認識を援助しようとする.本研究では,そのような対乳幼児動作(モーショニーズ)が乳幼児のボトムアップな視覚的注意によって誘発されるという仮説を立て,顕著性に基づく視覚的注意機能を実装したロボットを用いて人とのインタラクション実験を行なう (Nagai et al., 2010).

移動エントロピーを用いた乳幼児−養育者インタラクションの解析

乳幼児と養育者は,相互に情報をやりとりすることで動的にインタラクションを形成する. 本研究では,モーションキャプチャ装置で測定された身体動作と視線情報をもとに,乳幼児と養育者がいつどのような信号を互いに送り合っているのか,それが次時刻の動作にどう影響するのか,また,乳幼児の月齢によってそのダイナミクスがどのように変容するのかを,情報理論の指標である移動エントロピーを用いて定量的に解析する (Nagai et al., 2012).

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